1日の塩分の摂取目安量は?減塩するための工夫を解説

1日の塩分の摂取目安量は?減塩するための工夫を解説

塩分の摂りすぎは心配ですが、適量がわからずに過剰摂取している人は多いです。塩分の摂取目安量を知らずに過剰摂取していると、病気になるリスクがあがってしまいます。

この記事では、日本人に推奨される塩分摂取量の目安や、過剰摂取が及ぼす健康リスクについて解説します。塩分を減らすための簡単な方法も紹介するので、食生活の見直しに役立ててください。

1日の塩分摂取量の目安

1日の塩分摂取量の目安

1日の塩分摂取量の目安について、以下の3つの場合に分けて解説します。

  • 子供の場合
  • 大人の場合
  • 疾患を持つ人の場合

子供の場合

子供の場合、塩分摂取量の目安は大人よりも少ないです。推奨されている塩分摂取量の目安は年齢によって違います。1日あたりの年齢別の摂取目安量は以下の通りです。
» NHK健康ch(外部サイト)

  • 1~2歳:3g
  • 6~7歳:5g
  • 12歳以上:8g

体格差があるため男の子は0.5g程度多めに摂ることを推奨しています。成長期の子供においては、塩分の過剰摂取が成長に悪影響を及ぼす恐れがあるため注意が必要です。

学校給食だけでなく家庭での食事においても塩分量を意識することが必要です。薄味にする、食品のラベルを確認するなど塩分量を意識して調理しましょう。

子供たちの健やかな成長を支えるためにも、適切な塩分摂取量を守ることが重要です。

大人の場合

大人の場合

大人でも、仕事や家庭の忙しさからつい塩分過多になりがちです。成人男性は1日に7.5g未満、成人女性は6.5g未満の塩分に抑えることが推奨されています。

適切な塩分摂取量の維持は、生活習慣病の予防や管理につながります。塩分摂取量を意識して、健康的な生活を送りましょう。
» 三田市ホームページ(外部サイト)

高齢者は塩分過多だと心臓に負担をかけるためより注意が必要です。妊婦や授乳婦も自身や胎児、乳児の健康を守るため塩分摂取に配慮することが必要です。

疾患を持つ人の場合

高血圧などの疾患を持つ人は、塩分摂取量を常に注意深く管理するくらいがちょうどよいでしょう。過剰な塩分摂取は血圧の上昇を招き、病状を悪化させる可能性があります。

日本高血圧学会は、高血圧患者に1日の塩分摂取量を6g未満にすることを推奨しています。
» 日本高血圧学会(外部サイト)

疾患を持つ人がきちんと塩分摂取量の目安を設定することは大切です。腎機能障害や心不全をはじめとする疾患がある場合も、塩分摂取量の制限が必要です。

長く治療を受け続けると費用がかかりますし、疾患が原因で塩分が体内で適切に処理されず、症状の悪化や合併症を引き起こすリスクが高くなってしまいます。

塩分摂取量の実態

日本人の塩分摂取量の実態

塩分摂取量の実態を、以下の2つに分けて解説します。

  • 平均的な1日の塩分摂取量
  • 食生活のなかに隠された塩分

平均的な1日の塩分摂取量

平成30年の1日あたりの塩分摂取量の平均値は10.1g。男女別にすると男性が11.0g、女性が9.3gとなり、男女ともに塩分を多く摂り過ぎていることがわかります。
» 三田市ホームページ(外部サイト)

日本人の食事摂取基準で、塩分は『摂取量の減量を目指すもの』とされており、厚生労働省は成人男性は1日に7.5g未満、成人女性は6.5g未満の塩分に抑えるのが目標としています。

世界的にみても日本の平均的な塩分摂取量は多く、本来必要な1日あたりの摂取量は多くても2g程度です。

食生活のなかに隠された塩分

日本の食生活には隠れた塩分が多いということは意外と知られていません。和食は健康的というイメージを持つ人は多いです。しかし、みそ汁や醤油などには多くの塩分が含まれています。日常的に摂取することで、無意識のうちに塩分過多になっている可能性があります。

和食は健康的というイメージが、過剰摂取のリスクに対する意識を低くしてしまいがちです。健康維持のためには、隠れた塩分への意識を高め、毎日の食生活における過剰摂取への注意が必要です。

塩分の摂りすぎによる健康リスク

塩分の摂りすぎによる健康リスク

塩分の摂りすぎによる健康リスクは主に以下の3つです。

  • 高血圧
  • 心疾患
  • 胃がん

高血圧

高血圧とは血圧が常に高い状態を指します。高血圧は心臓への負担や動脈硬化のリスクが増大するといった健康上の問題を引き起こします。

原因は遺伝や肥満など多岐にわたりますが、塩分の多い食事が高血圧に強い影響を及ぼすので注意が必要です。

日本の高血圧患者数は全体で約4,300万人と推定されており、成人の3人に1人が高血圧ということになります。食事療法や生活習慣の改善といった治療が一般的ですが、場合によっては薬物療法も考慮されます。
» オムロンヘルスケア(外部サイト)

心疾患

心疾患

塩分を過剰に摂取すると、体内の水分量が増えて血管にかかる圧力が高くなり、血管内皮細胞を傷つけて動脈硬化を促進します。

動脈硬化によって心臓はより多くの力で血液を送り出すことが必要となります。心臓に負担がかると心筋梗塞などの心疾患になるリスクが高くなってしまうので注意が必要です。

胃がん

塩分が多い食事は胃の粘膜にダメージとなり、胃がんの発症率を上げると報告されています。

塩分過多によって胃炎が発生すると、発がん物質の影響を受けやすくなるので注意が必要です。慢性的な塩分過多は胃がんリスクが上がるため、適正量へと戻す対策をしましょう。

塩分を減らすための工夫

塩分を減らすための工夫

塩分を減らすための具体的な工夫として以下の3つの方法を紹介します。

  • お酢やレモンで代用する
  • 汁物は具だけを食べる
  • 塩分控えめの食品やメニューを選ぶ

お酢やレモンで代用する

塩分の摂取を減らすためには、お酢やレモンで代用すると効果的です。

お酢には料理の風味を際立たせる効果があり、塩分を控えめにしても味を引き立ててくれます。レモンの酸味も食材の味を強化し、新しい風味を加えて満足感を得るのに役立ちます。

自然な成分を活用することで、塩を使わずに味覚を満たすことが可能。お酢やレモンは健康によいとされる天然の成分なので、健康的な食生活にも寄与します。

汁物は具だけを食べる

汁物はおいしいですが、塩分がたくさん含まれているので注意が必要です。

汁には隠れた塩分が多く、すべて飲んでしまうと塩分を摂りすぎてしまいます。具の部分は汁よりも塩分が少ないことが多いので、具のみを食べて汁を残すと塩分摂取量を減らせます。もったいないかもしれませんが、簡単に実践できるのでおすすめです。

塩分控えめの食品やメニューを選ぶ

塩分控えめの食品やメニューの選択は、健康を維持するために非常に重要です。毎日の食事で塩分を抑えることは、高血圧や心臓病の予防に役立ちます

減塩の味噌や醤油などを選ぶだけでも、簡単に塩分摂取量を減らせます。購入前に食品ラベルをチェックして、塩分含有量が少ない商品を選ぶことも重要です。

外食時には塩分控えめのメニューを選びましょう。自宅で調理するときは、新鮮な野菜や果物を選んで塩分を控えるなどして、コントロールするのがおすすめです。

食材や調味料がセットになったミールキットには、食塩相当量など栄養成分の目安が確認できるものがあり、手軽に塩分量をコントロールすることができます。
» ミールキットとは?メリットデメリットを解説

塩分摂取量を管理する方法

健康的な食生活を送るためには、塩分の摂取量を管理することが大切です。以下の方法を参考に、効果的に塩分摂取量を管理しましょう。

  • 食事を記録する
  • 塩分控えめの食品を選ぶ
  • 調味料の使用量を減らす
  • 塩分摂取量を知るためのツールを利用する

食事を記録する

毎日の食事内容を記録すると、自分がどれだけ塩分をとっているかを把握できます。ノートやアプリを使って、食事の時間と量、使用した調味料や具材の種類を記録しましょう。外食や市販品の場合は、パッケージ情報を参考にすると塩分量を確認できます。

塩分控えめの食品を選ぶ

食品ラベルを確認し、塩分が少ない商品を選ぶように心がけましょう。加工されていない生鮮食品は、自然に含まれる塩分量が少ないです。加工食品には多くの塩分が含まれている場合が多いため、使用を減らすか低塩分バージョンを選ぶのがおすすめです。調味料も塩分控えめのものを選びましょう。

調味料の使用量を減らす

料理をする際には、調味料を少量ずつ加えたり、こまめに味見をしたりして、必要以上に足してしまうのを防ぎましょう。ハーブやスパイス、酢やレモン汁などを使って味に変化をつけると、塩分が少なくても満足感のある料理を作れます。塩分を足す代わりに、素材のうまみを引き出す調理法を取り入れるのもおすすめです。

塩分摂取量を知るためのツールを利用する

塩分計やアプリなどを使うと、日々の塩分摂取量を簡単に計算できます。スマートフォンにインストールできるアプリでは、食品のバーコードをスキャンするだけで塩分量を確認することが可能です。目標の塩分摂取量を超えたら通知されるアラート機能を使えば、過剰摂取を防げます。

塩分を控えるための食生活のポイント

塩分を控えるためには、日々の食生活で無理なく続けられる工夫が重要です。以下のポイントを意識すれば、毎日の食事で少しずつ塩分摂取量を抑えられます。

  • 食品ラベル内の塩分量を確認する
  • 減塩レシピと調理テクニックを知る
  • 代替品を使って塩分を控える

食品ラベル内の塩分量を確認する

市販の食品には塩分が多く含まれているものが多いため、ラベルをしっかりと読んで塩分量を把握しましょう。

パッケージの表面や裏面に「ナトリウム」または「塩分」と記載されている部分を探します。塩分表示が「g」や「mg」で表記されている場合、1000mg = 1gと換算すると便利です。

減塩レシピと調理テクニックを知る

風味を損なわずに塩分を減らす方法や、食材そのものの味を生かす調理法を身につけましょう。新鮮なバジルやローズマリー、黒胡椒やクミンなどを活用すると、塩を使わず風味を加えることが可能です。レモン汁や酢を加えると、酸味が増し、塩分を控えても満足感のある味わいを作れます。

ローストやグリルなどの調理法は素材の自然なうまみを引き出すため、簡単に塩分を控えられます。マリネや漬け込みで味を染み込ませる方法も、少ない塩分で十分な味わいを楽しむのに最適です。

代替品を使って塩分を控える

代替品を活用すると、塩分を減らしながらも食事の風味や満足感を保てます。調味料を無塩や減塩タイプに代えましょう。

塩分控えめのしょうゆやタレ、無塩バターや無塩マーガリンを使うのもおすすめです。無塩のナッツや種を使えば、スナック感覚で楽しみながら塩分を抑えられます。

和食では、昆布や椎茸から取れるうまみ成分を活用して、塩分を控えつつ豊かな味わいを楽しむことが可能です。

低ナトリウムのトマト缶やスープを選ぶと、調理の手間を減らしながら塩分管理をするのに役立ちます。自家製のソースやドレッシングを作って、塩分量を自分でコントロールするのも効果的です。

塩分を意識した食生活の効果と維持する方法

塩分を意識した食生活をすると、さまざまな疾患のリスクを減らし、健康的な生活を長く続けられます。習慣として定着するように、自分にあった方法で取り組みましょう。

減塩による健康効果

減塩により、以下の健康効果が期待できます。

  • 高血圧の予防
  • 心血管疾患のリスク低減
  • 腎臓機能の保護
  • 骨密度の維持
  • むくみの改善
  • 胃がんのリスク低減

塩分を控えると血圧を正常に保ちやすくなり、心臓病や脳卒中のリスクを減らすのに効果的です。また、むくみや水分保持の改善も期待でき、胃がんのリスク低減にも有効です。

塩分の多い食事は腎臓に負担をかけやすく、カルシウムの排出を促進させることで骨密度の低下を引き起こします。

減塩生活を続けるモチベーション維持の方法

減塩生活を継続するためには、減塩の理由を明確にし、目標を設定することが大切です。

具体的な減塩の目標を設定すると、達成感を感じやすくなります。自己管理を容易にするためには、日々の食事や体調の変化を記録するのが有効です。

家族や友人のサポートがあれば、励まし合いながら減塩に取り組めます。自分へのご褒美を用意すると、楽しみながら減塩生活を継続できます。

減塩でも美味しい料理を作るために、新しいレシピに挑戦するのもおすすめです。必要に応じて栄養士や医師のアドバイスを受けると、無理なく減塩生活を続けられます。

塩分摂取量に関するよくある質問

塩分摂取量に関する以下の質問に回答します。

  • 塩分不足になることはあるの?
  • 海塩や岩塩は体に良いの?
  • 推奨される塩分摂取量はどれくらい?

推奨される塩分摂取量はどれくらい?

推奨される塩分摂取量は個人差がありますが、一般的には1日あたり5g以下が目安です。高血圧や心臓病のリスクを減らすためには、自炊を増やし、減塩生活を心がけましょう。

塩分不足になることはあるの?

基本的に塩分不足になることは非常にまれですが、大量の汗をかく環境や特定の疾患を持つ場合には注意が必要です。

塩分不足になると低ナトリウム血症により頭痛、吐き気、疲労感、筋肉のけいれんなどの症状を引き起こします。重症の場合、意識障害や昏睡状態になるリスクがあるため、極端な低塩食や過度の水分摂取は避けましょう

海塩や岩塩は体に良いの?

海塩や岩塩は基本的に一般的な食塩と同じ成分で構成されているため、特別に健康によいという科学的根拠はありません

海塩や岩塩には微量のミネラルが含まれていますが、極めて少量で、健康効果を期待するのは難しいです。海塩や岩塩を使用する場合でも、総塩分量を管理するようにしましょう。

まとめ

まとめ

健康を維持するためには、日々の塩分摂取量を適切に管理することが大切です。成人の場合、塩分の摂取量は1日あたり7.5g以下を心がけましょう。高血圧などの疾患がある人は、6g以下が望ましいです。

世界保健機関(WHO)は、塩分摂取量を1日5g未満にすることを推奨しています。日本人の平均的な塩分摂取量は、これらの推奨値を軽く超えているので、目標の目安にするとよいでしょう。

隠れ塩分には注意が必要です。塩分の取り過ぎは高血圧や心疾患などの様々な健康リスクと関連しています。日常の食生活を見直し、塩分控えめの食品選びや調味料の工夫をして、健康維持に役立てましょう。