- 添加物は発がん性のリスクがあるって本当?
- よく食べるパンやお弁当の添加物は大丈夫かな…
- 体に悪いって聞くけど具体的にはどんな影響があるの?
食べ物に含まれる添加物は、体にどのような影響を及ぼすのでしょうか?間違ったイメージをもったままでは、安心して食事をとることができません。
この記事では、食品添加物のリスクと健康に与える影響について詳しく解説します。安全な食品選びのポイントもわかりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
記事を読むことで添加物の危険性を正しく理解でき、日々の食生活の見直し方がわかります。
食品添加物の危険性
食品添加物は、日々の食生活を便利にし食品の品質を保つための重要な役割があります。しかし、体への健康リスクの危険性が指摘されていることも事実です。
食品添加物の危険性を正しく理解するために、以下について詳しく解説します。
- 科学的根拠に基づく食品添加物のリスク
- 一日摂取許容量(ADI)とは
食品添加物は、一般的に安全性が確認されている範囲内で使用されています。ただし、過剰な摂取は健康リスクを招く恐れがあるため注意が必要です。
科学的根拠に基づく食品添加物のリスク
食品添加物はおもに、食品の色や味をよくするためや保存期間を延ばすために使われています。さまざまな食品に広く利用されている一方で、科学的研究により一部に健康リスクがあると指摘されています。
指摘されている健康リスクは、以下のとおりです。
- 長期間にわたる過剰摂取は、がんやアレルギー反応を引き起こす
- 一部の着色料は、注意欠如・多動症(ADHD)の症状を悪化させる
- ラット実験において、一部の保存料が腫瘍形成を促進した
- 亜硝酸塩は、摂取後に発がん性のあるニトロソアミンに変化する
- 人工甘味料は糖尿病や肥満に関連している
- いくつかの食品添加物は、動物実験で遺伝子毒性が確認されDNA損傷を引き起こす
- 高濃度での合成香料摂取は、中枢神経系に影響を与える
安全な食品選びのためには、成分表示を注意深くチェックしてください。食品添加物の種類や使用量を正しく理解し、適切に管理しましょう。
食品添加物の安全性に関しては、さまざまな意見が存在します。摂取量が適正を超えてしまうと、健康リスクを伴う恐れがあります。
一日摂取許容量(ADI)とは
一日摂取許容量、略してADIとは、毎日一生涯にわたって安全に摂取できるとされる食品添加物の量を指します。1日あたり、体重1kgあたりで示され「mg/kg体重/日」で表します。
ADIについてまとめました。
- ADIの決定には動物実験から得られたデータが用いられ、安全係数で割って算出される
- 安全係数は人と動物間、または人同士の感受性の違いを考慮し通常100倍とされる
- ADIに日本人の平均体重(53.3kg)をかけることで、日本人1人あたりの摂取許容量となる
- ADIの設定は国際的な基準をもとに食品安全委員会が行う
- ADIを超える摂取が継続すると、健康に悪影響を及ぼす恐れがある
ADIを超えると、さまざまな健康リスクを引き起こす恐れがあります。健康を守るために摂取許容量をしっかり守り、安全な食生活を送りましょう。
食品添加物の安全基準と規制
食品添加物の安全性は科学的根拠に基づいて評価され、定められた基準内の使用が許可されています。この基準設定は、人々の健康を守るために極めて重要です。
安全基準と規制は以下の2つにわけられます。
- 国際的な基準と規制
- 日本の安全基準と規制
徹底的に調査された安全基準の設定により、添加物が使用されている食品を安心して摂取できます。
国際的な基準と規制
食品添加物の国際的な基準と規制は、世界各国が食品の安全性を保つ上でとても重要です。基準を定めているのは、コーデックス委員会と呼ばれる国際食品規格委員会です。
コーデックス委員会は、世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)によって共同運営されています。食品添加物の使用に関するガイドラインや規格は、コーデックス委員会が設定しています。
国際的な基準と規制を定める際の、機関や役割は以下のとおりです。
- コーデックス委員会は国際貿易における食品安全の調和を促進し、各国の貿易紛争の解決に取り組んでいる
- FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)によって、食品添加物に関する国際リスク評価が行われる
- JECFAによる評価で、添加物の1日摂取許容量(ADI)が設定される
- 新しい食品添加物はJECFAでリスク評価されたあと、コーデックス委員会総会で採択される
- 世界貿易機関(WTO)がコーデックス委員会の基準を採用し、衛生および植物衛生措置に関する協定に取り組む
コーデックス委員会には日本を含む180ヶ国以上が加盟しています。コーデックス委員会の基準は、国際社会で共有される食品規格として世界的に認められています。
日本の安全基準と規制
日本の食品添加物の安全基準と規制は厚生労働省が定めていましたが、令和6年4月1日、食品衛生基準行政は厚生労働省から消費者庁に移管されました。食品添加物に関する安全性を評価し、その結果をもとに「食品添加物の使用基準」を設定しています。
食品添加物指定などの「食品衛生基準行政」は消費者庁、取り締まりなどの「食品衛生監視行政」は引き続き厚生労働省が行います。
日本の安全基準と規制は、以下のように制定されています。
- 使用できる食品添加物は「食品衛生法」にて定められている
- 食品衛生法に基づき食品添加物は規制されている
- 食品添加物の安全性は、食品安全委員会によって評価される
- 安全性評価は動物実験や科学的研究に基づき行われる
- 食品添加物リストに記載されている指定添加物以外に、既存添加物や天然香料、一般飲食物添加物のみが使用できる
- 添加物ごとに成分規格や使用基準が規定されている
- 新たな食品添加物の指定は「評価・審議」のプロセスを経る必要がある
- 成分表示義務により、使用されている食品添加物を消費者へ通知する
食品添加物は安全基準を守った上で使用しなければいけません。違反者には罰則が適用されるなど、法律による厳格な管理が行われています。
危険な食品添加物
食品添加物は食品の風味を向上させたり、保存性を高めたりするために使われています。しかし、添加物の中には健康に危険を及ぼす恐れがあるものがあります。健康を守るためには、危険な食品添加物について正しく理解しておくことが大切です。
注意が必要な食品添加物は以下のとおりです。
- 亜硝酸ナトリウム
- 合成甘味料
- 合成着色料
- 合成保存料
- 調味料(アミノ酸等)
- 防カビ剤
- マーガリン・ショートニング
食品を購入する際の注意
危険が指摘されている食品添加物が含まれていないか、成分表示でチェックしましょう。
亜硝酸ナトリウム
亜硝酸ナトリウムは食品の保存を助け、見た目をよくするために広く使用されます。一般的に食肉製品や魚介類、チーズの加工などに使われることが多いです。亜硝酸ナトリウムは健康への悪影響が懸念されているため、摂取量には注意してください。
亜硝酸ナトリウムの特徴は以下のとおりです。
- 発がん性を有する恐れがあるとして議論されている
- 別の物質と結びつくことで発生するニトロソアミンに、発がん性が含まれる
- ヨーロッパでは使用に関して一部厳しい規制がある
- 日本では指定添加物として使用基準が設定されている
亜硝酸ナトリウムは、ヨーロッパではとくに子供への影響に関して一部規制を設けています。もちろん日本でも厳しい使用基準が設定されています。しかし、議論されている成分のため摂取量には注意が必要です。
合成甘味料
合成甘味料は飲食物に甘さを加えるために使用されます。通常の砂糖と比べてカロリーが低いか、全く含まれていないことが特徴です。代表的な合成甘味料には、アスパルテームやサッカリン、スクラロースなどがあります。
合成甘味料の特徴は以下のとおりです。
- 合成甘味料は砂糖の代替品として用いられる
- カロリーが低いかゼロであるため、ダイエット中や糖尿病の人に好まれる
- 発がん性やほかの健康リスクが、一部のもので指摘されている
- 長期間の高用量摂取が安全性に関して懸念されている
- 妊婦や子供は、摂取量によっては肥満リスクが高まる恐れがある
- 自然由来の甘味料(ステビアなど)との比較研究が行われている
- 味の違い、アフターテイストが一部の消費者にはネガティブに捉えられる
妊娠中の合成甘味料の摂取によって、生まれた子供の肥満リスクが高まる恐れがあります。とくに妊婦や子供は摂取量に注意してください。
合成甘味料には特有の味があるため、すべての人に受け入れられるわけではありません。自然な甘さを望む声に応えて、ステビアのような自然由来の甘味料も広く使われています。
合成着色料
合成着色料は、食品に色をつけるために使用される人工的な色素です。食べ物の見た目をよく見せるため、とくにお菓子や飲み物などに添加されています。魅力的な色素で購買意欲を高める一方、健康上のリスクも指摘されています。
合成着色料の特徴は以下のとおりです。
- 1960年代の日本では、コールタールから製造された「タール色素」が24種類使用されていた
- 現在では、石油製品を原材料にして製造された12種類のみが許可されている
- 欧米では特定の合成着色料の使用が禁止、または注意書きの表示が義務付けられている
- 一部の合成着色料はアレルギーや過敏症、注意欠陥・多動性障害(ADHD)との関係性が疑われている
- 安全性は動物実験において評価されているが、一部の合成着色料には発がん性が確認されている
以前の合成着色料は、石炭や木材などを煮詰めて得られる、黒いドロドロとしたコールタールから化学合成されていました。しかしコールタールから製造されたタール色素に、発がん性などの毒性が指摘されたのです。
毒性が指摘されたコールタール製品は、世界各国で使用が制限されました。現在は石油製品で製造されたものだけが使用されています。
日本でも、食品衛生法により厳しい基準で管理されています。過剰な摂取が健康を損ねるため、摂取量の意識的な管理が必要です。
合成保存料
合成保存料は食品を長持ちさせ、新鮮さを保つために使用されています。食品の腐敗や劣化を防ぎ、安全に食品を保存できます。しかし、一部の合成保存料による健康リスクが報告されているため注意が必要です。
合成保存料の特徴は以下のとおりです。
- 一般的な合成保存料には、安息香酸ナトリウムやソルビン酸カリウムなどがある
- 一部の合成保存料には、アレルギー反応や喘息の発作を引き起こす恐れがある
- 安息香酸ナトリウムは、特定の条件下で発がん性物質であるベンゼンを発生させる
- 安息香酸ナトリウム自体に発がん性はなく、適切な使用が認められている
ソルビン酸カリウムは、コンビニやスーパーで売られている弁当類や加工食品、ワインなどに幅広く使用されています。歯磨き粉やシャンプーなどの日用品にも含まれるため、摂取量には注意してください。
安息香酸ナトリウムは、ビタミンCと反応することでベンゼンに変化します。ベンゼンは発がん性があるとされている物質です。
調味料(アミノ酸等)
調味料として使われるアミノ酸は、料理に手軽にうまみ成分を加えられます。アミノ酸を主成分とするもので、とくに知られているのがグルタミン酸ナトリウムです。食材本来の味のよさを引き出せる効果があるため、多くの料理に利用されています。
アミノ酸調味料の特徴は以下のとおりです。
- アミノ酸調味料としてよく使用されているのは、グルタミン酸ナトリウムである
- 大量摂取による健康リスクが指摘されているが科学的データはない
- グルタミン酸ナトリウム摂取による「中華料理症候群」の報告があるが、因果関係は明確ではない
- 添加物としての調味料にはアミノ酸のほかにも、核酸や有機酸、無機塩の4グループにわけられる
- アレルギー反応を示す人もいるため、成分表示の確認が推奨される
- 自然食品に含まれるものと化学合成によるものがある
アミノ酸調味料はさまざまな加工食品に使用されているため、購入の際は成分表示を確認しましょう。気付かないうちに大量に摂取してしまわないようにするには、オーガニック調味料などの使用がおすすめです。
防カビ剤
防カビ剤は、フルーツやチーズ、パンなどの食品におもに使用されています。とくにオルトフェニルフェノール(OPP)やチアベンダゾール(TBZ)は、柑橘系のフルーツによく使用される防カビ剤です。外国産のフルーツを長時間輸送する際に、カビの発生を防ぐために使用されます。
防カビ剤の特徴は以下のとおりです。
- 防カビ剤は、食品のカビ発生を抑制するために使用される化学物質である
- 長期間摂取しても、人体に影響のない安全な量が設定されている
- 発がん性やアレルギー反応などを引き起こす疑いがあるため、危険性が指摘されている
- 防カビ剤に対する安全性評価や規制は国によって異なる
- 成分表示から防カビ剤の含まれる食品を識別できる工夫が必要である
防カビ剤は、各国での安全性評価や規制が異なるため、購入する際は注意が必要です。
日本では、収穫後の防カビ剤の使用は認められていません。しかし海外では収穫後に防カビ剤が使用され、日本へ輸入されています。
マーガリン・ショートニング
料理や製菓に使用されるマーガリンやショートニングの多くは、トランス脂肪酸が含まれています。トランス脂肪酸の過剰な摂取は、心臓病のリスクを高める恐れがあります。
トランス脂肪酸の特徴は以下のとおりです。
- 多くのマーガリンとショートニングには、トランス脂肪酸が含まれている
- トランス脂肪酸の過剰摂取は、心臓病リスクを高めるとの研究結果がある
- 先進国の中には、トランス脂肪酸の使用制限や表示義務が法律で定められている
- 日本ではトランス脂肪酸の表示は任意で、摂取量に対する具体的な規制はない
- 代替品としてトランス脂肪酸を含まない製品の開発が進んでいる
トランス脂肪酸は、使用制限や表示義務が法律で規定されている国が多くあります。しかし、日本ではトランス脂肪酸の摂取量に関する規制が設けられていないのが現状です。
健康に影響を及ぼす恐れがあるため、トランス脂肪酸を含まない安全な代替品の開発が進んでいます。オーガニックショートニングやバターを使用するなど、トランス脂肪酸の摂取量に注意してください。
添加物の摂取許容量を超えた場合の危険性
添加物の摂取許容量を超えた場合、さまざまな健康問題が生じる恐れがあります。体が添加物を異物と認識し、不快な症状を引き起こすためです。
以下の場合に大人や子供、妊婦によって、いろいろな症状が現れます。
- 一日摂取許容量(ADI)を超える摂取
- 複数添加物の同時摂取をした場合
一日摂取許容量(ADI)を超える摂取の影響
一日摂取許容量(ADI)を超えると一時的な影響だけでなく、長期にわたる慢性的な健康問題が生じる恐れがあります。添加物が体内に蓄積されてしまい、とくに肝臓や腎臓などの重要な臓器の機能障害に陥るかもしれません。
一時的にみられる症状
頭痛や吐き気、アレルギー反応、注意力低下などの症状が指摘されています。
長期にわたる摂取では、以下の健康問題が生じる恐れがあります。
- がんや肝臓・腎臓障害、神経系の損傷などのリスクが高まる
- 免疫系の機能低下やホルモン系に影響を与える恐れがある
- うつや不安障害、認知機能低下の発現リスクが高まる
- アレルギーや敏感な体質の場合、症状の悪化や呼吸器系の症状を引き起こす恐れがある
- 妊婦や子供の場合、発達障害や成長の妨げが懸念される
- 糖尿病や心血管疾患など、既存の疾患の悪化を引き起こす恐れがある
日常的に添加物が含まれる食品を摂取していると、あらゆるリスクが高まります。健康への悪影響を抑えるには、一日の摂取許容量を守りバランスのとれた食事が重要です。できるだけ添加物の少ない天然素材やオーガニック食品を選び、健康維持につなげましょう。
複数添加物の同時摂取をした場合の影響
複数の添加物を同時に摂取した場合、1つの添加物だけの摂取とは異なる問題が発生する恐れがあります。許容量内であっても、相互作用によって体内での反応は変わります。もちろん体の状態によっても、症状の現れ方は人それぞれです。
添加物の同時摂取で考えられる影響としては、以下のとおりです。
- 複数の添加物が相互作用し、それぞれの毒性を増強する恐れがある
- 添加物同士の結びつきで新たな化学物質を生成し、未知の健康リスクを引き起こす可能性がある
- 摂取許容量内であっても、相互作用や体の状態によって症状の現れ方は変化する
複数の添加物を長期にわたって摂取した場合の影響について、研究結果などは発表されていません。食品選びの際は、体への影響を考えて添加物の組みあわせに注意してください。
まとめ
食品添加物の安全性について正しく理解し、日々の食生活をしっかり管理しましょう。食品添加物には科学的な基準に基づいた健康リスクがあるため、一日摂取許容量(ADI)が設けられています。
健康のために押さえておくポイントとしては、以下のとおりです。
- 一日摂取許容量(ADI)は、消費者の安全を守るために設定されている
- 国際的な規制と日本の安全基準によって、食品添加物の使用を管理している
- 発がん性やほかの健康リスクが指摘されている添加物がある
- ADIを超える摂取や複数の添加物を同時に摂取すると、健康に悪影響を与える恐れがある
- 健康を守るためには摂取量を管理し、敏感な人はオーガニック製品を使用する
ADIを超えてしまうと、健康にさまざまな悪影響を及ぼす恐れがあります。食品を選ぶ際には成分表示を確認し、適切な摂取を心がけてください。摂取量をしっかり管理して、安心できる楽しい食生活を送りましょう。