健康的な食事とはどういうものか、一言では言い表せません。しかし、注意すべきは脂質の摂取量です。
この記事では、1日に必要な脂質量の目安と適切な摂取方法について解説します。脂質の摂取を抑えるコツも紹介するので、健康的な食生活への第一歩として参考にしてください。この記事を読めば、バランスのよい食生活が実現できます。
1日に必要な脂質の量
脂質は人間の体にとって大切な栄養素。成人の場合、全体のエネルギー摂取量に占める脂質の割合は、20~25%が推奨されています。成人の場合、1日50gを取るのが目安です。
脂質の摂取目安量は、年齢や身体活動レベルによって異なります。活動量が多い人だけでなく、妊娠中の女性においても、発育を支えるために多めの脂質が必要です。
幼児から青少年は成長期のため、相対的に多くのエネルギーが必要です。全体のエネルギー摂取量に占める脂質の割合は、成人の場合より5~10g多めを目安にするとよいでしょう。
逆に、高齢者は活動量の減少を考慮して、15~20%の脂質摂取に制限しましょう。トランス脂肪酸は極力摂取しないようにしてください。質の悪い油の摂取は、健康的な食生活にとって悪影響です。
脂質の摂取量が問題になる理由
脂質の摂取量を適切に管理しないと、健康を維持できません。適量の脂質は体のエネルギー源として利用されますが、過剰な摂取は肥満や生活習慣病の原因となり得ます。心臓病や脳卒中などの疾患リスクが高まることも懸念されています。
心血管系に悪影響を及ぼす飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取には、厳重な警戒が必要です。トランス脂肪酸を多く取ると、血液中のLDLコレステロールが増加し、HDLコレステロールが減少します。トランス脂肪酸の過剰摂取は、動脈性心疾患のリスクを高めることも示されています。
便利な現代社会では、高脂質の食品が簡単に手に入ってしまうため、無意識のうちに過剰摂取しがちです。普段から適切な摂取量を意識することが大切です。
一般的な食品に含まれる脂質量
一般的な食品の100g当たりに含まれる脂質量を下記にまとめました。
- アボカド:15g
- アーモンド:49g
- ダークチョコレート:31g
- サーモン:13g
- 揚げ物:15g
- 卵:5g
単に脂質量の低いものを取ればよいというわけではない点に注意が必要です。サーモンのようなオメガ3脂肪酸を豊富に含む食品は、心疾患の予防に役立つため積極的に摂取しましょう。しかし、揚げ物は摂取量に気を配る必要があります。スーパーなどで買える食品の中には、質が悪く安い油を使っているものもあるので注意が必要です。
脂質の取りすぎによる健康リスク
脂質の取りすぎによる健康リスクは以下のとおりです。
- 体重増加
- 消化不良
- 病気の発症
体重増加
脂質の過剰摂取は、体重の増加につながります。摂取したカロリーが消費カロリーより多い場合、余分なエネルギーを脂肪として貯蔵するからです。定期的な運動不足も、体重増加に影響を与える要因の一つです。カロリーが高い食品の脂質は、体重増加の原因になりやすいです。体内に蓄積されることで、体重の増加を引き起こします。
健康を維持するためには、高脂質食品の過剰な摂取を避けるのが重要です。適切な脂質の摂取量を意識し、バランスの取れた食事を心がければ、体重増加を防げます。
消化不良
消化不良は食事に含まれる脂質が原因で起こる場合があります。消化を助ける酵素が不足して、体が脂肪分をうまく分解できないケースがあるからです。脂肪分の多い食べ物を取った後に胃もたれを感じたり、腹痛が起こったりするのは消化不良を起こしている可能性が考えられます。
適切な脂質の摂取は健康維持に必要ですが、量や質には十分注意しましょう。
病気の発症
脂質の取りすぎはさまざまな病気の発症リスクを高めます。具体的には以下の病気リスクが増加します。
- 心血管疾患
- 2型糖尿病
- 高血圧
- 肝臓疾患
- メタボリックシンドローム
- 睡眠時無呼吸症候群
- 炎症性疾患
病気を予防するためにも、日頃から脂質の摂取管理を徹底しましょう。
脂質の摂取を抑える方法
脂質の摂取を抑える方法は以下のとおりです。
- 食事で摂取する脂質量を把握する
- 調理法の工夫で脂質摂取量を抑える
- 外食時はメニュー選びや食べる量に気をつける
食事で摂取する脂質量を把握する
健康を維持するためには、食事で摂取する脂質量を把握することが重要です。適切な脂質の摂取は、エネルギー源としての役割だけでなく、体の細胞を作るのにも不可欠です。毎日の食事で必要な脂質量がわかれば、栄養バランスの整った食生活が送れます。
正確な脂質摂取量を知るためには、食品の栄養成分表をチェックしましょう。食事記録アプリを活用するのもおすすめです。料理のレシピに記載されている脂質量や、食品パッケージに記載の成分表からの情報を参考にして、脂質管理をしましょう。
調理法の工夫で脂質摂取量を抑える
脂質摂取量を抑えるためには、日々の調理方法に注意を払うことが重要です。適切な調理法を選ぶことで、食事からの脂質摂取量を減らせます。具体的には揚げ物よりも、蒸したり炒めたりする調理方法を積極的に取り入れるのがおすすめです。揚げ物は脂質の過剰摂取につながるので、なるべく避けましょう。
サラダを食べるときはドレッシングを控えめにしたり、エクストラバージンオリーブオイルを活用したりするのがおすすめ。毎日少しずつでも気をつけることで、脂質の摂取量を効果的に抑えられます。
外食時はメニュー選びや食べる量に気をつける
外食時のメニュー選びにも注意が必要です。メニューを選ぶ際は、揚げ物やクリーム系の料理ではなく、蒸し料理や焼き物を選びましょう。サラダを前菜にすると野菜の摂取量を増やせますが、ドレッシングを別皿で頼んで自分で量を調節できる工夫ができるとよりよいでしょう。
料理を選ぶときは、脂質含有量を事前にチェックし、可能であれば低脂質オプションを選びましょう。提供される量が多い場合は、持ち帰りを利用したり、誰かと共有したりすることで食べ過ぎを防げます。デザートを注文するときも、フルーツやシャーベットなどのサッパリとしたメニューを選ぶのが望ましいです。
脂質不足に陥らないための対策
脂質は多く取りがちですが、不足するのもよくありません。脂質不足に陥らないための対策は以下のとおりです。
- 脂質不足のサインを見逃さない
- 良質な脂質をさまざまな食品から取る
- バランスのよい食事を心がける
脂質不足のサインを見逃さない
脂質が不足すると、体にさまざまな影響が現れます。具体的な症状は以下のとおりです。
- 乾燥肌
- かゆみ
- 疲労感
- 集中力の低下
- 冷えやすい
- 心の不調
上記のうちいずれかのサインがあれば、脂質摂取量を見直してみてください。脂質は身体を形成する重要な成分であり、エネルギー源としても機能する重要な栄養素です。
体の症状は、日々の生活の中で見過ごしがちですが、大切なシグナルなので無視は禁物です。症状が出始めたら、食生活を見直し、必要に応じて専門家に相談しましょう。適切な知識を活用して脂質不足に対処すれば、健康維持に役立ちます。
良質な脂質をさまざまな食品から取る
良質な脂質をさまざまな食品から取るのは重要です。以下の食品は良質な脂質が含まれるため、積極的に取り入れましょう。
- サバ
- マグロ
- アボカド
- ナッツ類
加工食品やファストフードに含まれる脂質は、トランス脂肪酸が多いので避けるべきです。食品を取る際は、食品ラベルで脂質の種類と量を把握しましょう。
バランスのよい食事を心がける
健康を維持するにはバランスのよい食事が欠かせません。脂質の摂取量に注意しながら、たんぱく質や炭水化物、ビタミン・ミネラルなどの栄養素をバランスよく取ることが重要です。糖質や塩分は取りすぎないように気をつけましょう。自分自身の食事内容を定期的にチェックするのがおすすめです。
» 栄養バランスを整える方法
PFCバランスを極めるのもよい選択肢です。PFCとはタンパク質、脂質、炭水化物の頭文字のこと。理想的な摂取比率はタンパク質が15%、脂質が25%、炭水化物60%と言われています。栄養成分表示を見て、少しずつでも理想的な比率に近づけましょう。
まとめ
成人における脂質の摂取目安は、1日の総エネルギー摂取量の20〜25%です。脂質の適正な摂取には、体重増加や病気のリスクを抑えるメリットがあります。日常的に食品ラベルをチェックし、調理法や外食時のメニュー選択に注意を払いましょう。
加工食品ではなく、ナッツ類や魚などを通じて良質な脂質を摂取するのがおすすめ。適切な量の脂質を摂取して、健康維持に努めましょう。