毎日同じ食事だと飽きてしまい、栄養バランスも崩れがち。しかし、日々の献立を考えるのは大変です。献立を考える際に参考にしたいのが、日本の伝統的な食事スタイルである「一汁二菜」。
この記事では、一汁二菜の献立の基本やバランスの良い食事を考えるコツ、定番のレシピを解説します。記事を読むと、シンプルでありながら栄養満点な日々の食生活に役立つ知識を得られます。
一汁二菜の基礎知識
一汁二菜は、日本の伝統的な食事スタイルで、1つの汁物と2つのおかずで構成される献立です。シンプルで栄養バランスに優れており、日本の家庭料理において健康的な食生活の基本とされています。和食の基本として、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。
一汁二菜でのポイントは以下のとおりです。
- 主菜はたんぱく質豊富な食材を使う
- 副菜はビタミンやミネラルを多く含む野菜を使う
- 汁物は主菜と副菜に含まれていない栄養を摂れる食材を使う
一汁二菜は、食材の効率的な使用と準備の手軽さから、毎日の食事作りにも役立ちます。旬の食材を取り入れることで、年間を通して栄養バランスが良く、食卓の変化も楽しめるのも魅力の一つです。
» 食生活について解説
一汁二菜の献立の立て方
一汁二菜の献立を立てるポイントは次のとおりです。
- 主菜・副菜・汁物を基本に献立を立てる
- 栄養バランスを考える
- 旬の素材を取り入れる
彩り豊かでバリエーションに富んだメニューを心がけることで、栄養バランスが整った献立になります。アレルギーや食事制限がある人向けに作る際は、配慮も忘れないようにしてください。料理時間や手間を考慮し、簡単に作れるものと手の込んだ料理をバランスよく組み合わせることが望ましいです。
主菜・副菜・汁物を基本に献立を立てる
献立を立てる際には、栄養バランスが整っていることが大切です。主菜・副菜・汁物を基本とすることで、栄養バランスの良い献立になります。
主菜はたんぱく質源の肉や魚、卵や大豆製品から選びましょう。副菜ではビタミンやミネラルが豊富な野菜や海藻を2品程度用意します。汁物は消化を助け、必要な水分を補給する役割があるので毎食取り入れましょう。
食材の種類や色を変えることで食卓が彩り豊かになり、食事が楽しくなります。バリエーション豊かな献立を作ることで、自然と栄養バランスも整えられます。
» 主菜の役割と種類を解説
栄養バランスを考える
健康維持や体調管理を意識した献立で大切なのは、栄養バランスです。主菜と副菜には、主に以下の役割があります。
食事の種類 | 多く含まれる栄養素 | 役割 |
主菜 | たんぱく質 | 筋肉や臓器、血液などの材料となり、体を作る上で欠かせない |
副菜 | ビタミン・ミネラル | 体のさまざまな機能を助け、健康を維持する |
炭水化物の量は1日の活動量に合わせて調節し、脂質は適量を心がけましょう。必須脂肪酸を含むものを選ぶのがおすすめです。脂質は、エネルギー源であると同時に脂溶性ビタミンの吸収を助ける役割がありますが、過剰摂取は体に負担をかけるため注意が必要です。
» 1日の脂質の摂取目安量
食物繊維を多く含む野菜や穀物を積極的に取り入れることで、おなかの調子を良くします。カルシウムや鉄分などのミネラルを意識して食事に取り入れれば、骨や血液の健康を支えます。塩分と糖分は摂り過ぎないようにし、推奨される摂取量を超えないように注意しましょう。
» 1日の塩分の摂取目安量
食材の色や種類を多様にすることで、栄養素が偏らず、彩りよい楽しい食事ができます。一食で必要な栄養素をまんべんなく摂れるように、メニューの組み合わせにも気を配ることが大切です。
» 栄養バランスを整える方法
旬の素材を取り入れる
旬の素材を一汁二菜の献立に取り入れることで、食事で季節を感じられます。旬の素材は栄養価が高く、味もおいしいです。
旬の食材は価格が安定しており、割安で手に入ることが多いため、家計にも優しいです。地域でとれた旬の素材を選ぶことで、地産地消に貢献し、地元の農家の支援にもつながります。季節ごとの特色を生かした献立は、食事を楽しくし、家族の会話も弾みます。
» 野菜摂取量の目安
定番の主菜レシピ
一汁二菜の献立で食事の中心となる主菜は、食卓を豊かにする重要な一品です。主にたんぱく質を豊富に含む肉や魚を使用した料理となります。簡単でおいしい定番の主菜レシピをご紹介します。
紹介するレシピは以下のとおりです。
- 鶏肉の照り焼き
- 味噌漬けの焼き魚
- 豚肉の生姜焼き
紹介するレシピは、基本的な調味料のみを使用し、特別な材料を用意することなく日常的に楽しめるものばかりです。短時間で簡単に調理できるので、忙しい日の夕食作りにも役立ちます。レシピを参考に、手軽においしい主菜を作ってください。
» 1週間の献立の立て方とメリットを解説!
鶏肉の照り焼き
鶏肉の照り焼きは、家庭で簡単に作れることから子どもから大人まで幅広い世代に愛されるメニューです。鶏もも肉や鶏むね肉を使用し、醤油、みりん、酒、砂糖を使った甘辛いタレで味付けします。
肉はしっかりと味が染み込むように表面に切り込みを入れるのがコツです。焼く際には皮目から強火で焼き、中火でじっくりと仕上げることで、外はカリッと中はジューシーな照り焼きが完成します。
仕上げに照り焼きソースを絡め、ごまやねぎをトッピングすると風味が増し、おいしくなります。時間がない日の夕食やお弁当にもぴったりで、市販の照り焼きソースを使えば手軽に作れます。
作り置きも可能で、翌日に食べても味が落ちないため、多めに作っておくと便利です。余分な脂はキッチンペーパーで拭き取ることで、よりヘルシーに楽しめます。
味噌漬けの焼き魚
家庭料理の定番で、一汁二菜の献立において典型的な主菜として親しまれているのが味噌漬けの焼き魚です。新鮮な魚を選び、味噌で漬け込むことで、深い味わいと豊かな風味を楽しめます。
漬け込む時間の調整で、好みの味の濃さに仕上げることが可能です。焼く際には焦げないように注意しながらじっくりと中火で加熱することがポイントです。アルミホイルやグリルを使用することで後片付けを簡単にできます。
薬味を添えたり、レモンを絞ったりすることで、味のアクセントを加えられるのも魅力です。ご飯のおかずとしてはもちろん、お酒のおつまみとしても最適な味噌漬けの焼き魚は、さまざまなシーンで楽しめます。
豚肉の生姜焼き
豚肉の生姜焼きは、味わい豊かで作りやすい料理です。薄切りまたは小間切れにした豚肉は、短時間で柔らかく、おいしく調理できます。たれは醤油、みりん、砂糖、おろし生姜を組み合わせると、豚肉の風味を引き立てることが可能です。
豚肉をたれに漬け込む時間を10分程度にすることで、肉にしっかりと味が染み込みます。中火で豚肉を焼くと、外はカリッと中はジューシーに仕上げられます。余分な脂はキッチンペーパーで拭き取りましょう。
盛り付けには、小ねぎや白ごまを散らし、見た目に彩りを加えます。生姜焼きの風味付けには新鮮な生姜が重要です。たれの甘辛さは、お好みで調整可能です。
生姜焼きはご飯のおかずに最適であり、栄養面でもビタミンB群が豊富です。キャベツの千切りやレタスを付け合わせにすると、食感のアクセントとなり、満足感を高めます。簡単に作れるため、忙しい日の夕食やお弁当のメインにもぴったりです。
定番の副菜レシピ
栄養バランスの良い一汁二菜の食事の中でも、副菜は栄養バランスを整える役割を持っています。副菜はたんぱく質の多い肉や魚を使う主菜とは異なり、野菜中心のメニューが多くなる傾向にあります。副菜の定番レシピには、手軽に作れるものが多く、忙しい日の食事作りに大変役立ちます。
紹介するレシピは以下のとおりです。
- ほうれん草のおひたし
- 切り干し大根の煮物
- もやしとキャベツのナムル
どれも簡単に作れる上に、食卓に彩りを加える一品です。副菜は、日本の家庭で昔から親しまれているものであり、材料が手に入りやすく、調理も簡単なのが魅力です。
ほうれん草のおひたし
ほうれん草のおひたしは、健康的な副菜として日本の食卓に欠かせない一品です。新鮮なほうれん草をたっぷり使い、食感と色の鮮やかさを生かすことが大切です。
塩を入れた熱湯でほうれん草をさっと茹で、冷水に取り水気を絞った後、醤油などで味付けをします。シンプルな調理法を用いるほうれん草のおひたしは、子どもから大人まで幅広く楽しめます。ごま油や白ごまを加えると香ばしさが増し、かつお節をトッピングすることで、一層深みのある味わいになりおすすめです。
ほうれん草のおひたしは、温かいごはんやお茶漬けとの相性も抜群です。手軽に作れるため、忙しい日の夕食に重宝します。ビタミンAやビタミンC、鉄分も豊富で、短い時間で調理できるので、日々の食生活に取り入れやすいです。
切り干し大根の煮物
切り干し大根の煮物は家庭料理の中でも人気があり、以下の特徴があります。
- 栄養価が高く、食物繊維が豊富である
- 保存性に優れている
- 時間とともにおいしさが増す
- 経済的で効率的なレシピである
おいしい煮物を作るためには、調理前に切り干し大根を水で戻して柔らかくしておきましょう。砂糖や醤油、みりんを使い甘辛く味付けし、だしの風味を加えることで、一層の味わい深くなります。切り干し大根だけでなく、にんじんやしいたけなど他の具材を加えると色彩も鮮やかです。
ごま油で炒めることで香ばしさをプラスされますが、火加減に注意し煮詰まりすぎないように注意しましょう。完成した煮物は時間が経つと味がしみるので、冷めてから食べるのもおすすめです。保存が利き、時間が経つほどに味が増すので作り置きにも適しています。
もやしとキャベツのナムル
もやしとキャベツのナムルは、シンプルな調理で栄養豊富な副菜を簡単に作れます。もやしとキャベツは、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で手軽に摂取できます。
作り方は簡単で、軽く茹でたもやしとキャベツの水気をしっかりきり、お好みの調味料に和えるだけ。使用する調味料は、以下を参考にしてください。
- 醤油
- ごま油
- 塩・こしょう
- 白ごま
- にんにく
- 生姜
もやしとキャベツのナムルは低カロリーであるため、ダイエット中の方にもおすすめです。
定番の汁物レシピ
汁物は、一汁二菜の献立において欠かせません。体を温めるだけでなく、食事全体のバランスを整え、満足感を高められるので、毎日の食卓に取り入れることをおすすめします。さまざまな汁物の中から定番とされるレシピをご紹介します。
- 豆腐の味噌汁
- 野菜スープ
- 豚汁
手軽に作れて家庭での食事にぴったり合うものばかりです。
豆腐の味噌汁
豆腐の味噌汁は、日本の家庭料理の中でも親しまれている汁物です。シンプルながらも栄養豊富で、体を温めやすい性質があります。豆腐自体が高たんぱくで低カロリーな食品であることに加え、味噌と組み合わせることで、さらに健康的な一品になります。
使われる主な材料は豆腐、味噌、だし、水、ねぎ、わかめなどです。豆腐は硬さによって木綿豆腐や絹ごし豆腐があり、好みによって使い分けましょう。味噌は白味噌、赤味噌、合わせ味噌などがあり、地域や好みによって使われるものはさまざま。
彩りや栄養価を高めるために他の食材を加えることもあり、残り野菜を使うことも多いです。味噌汁を作る際には味噌を直接沸騰するお湯に入れずに、溶き味噌として途中で加えます。味噌は熱に弱いので、煮込みすぎないように注意してください。だしを取る時間がない場合は、市販のだしの素を使うことで手軽に作れます。
基本的な材料は手に入りやすく、季節によって異なる具材を加えることで、さまざまな変化を楽しめます。家庭ごとにアレンジが生まれやすい豆腐の味噌汁は、食事のバランスを考える際にも便利です。野菜や他の具材を加えることで、日々の健康管理に役立つことは間違いありません。
野菜スープ
豊かな味わいと栄養価の高さで知られる野菜スープは、手軽に作れるうえ体にも良い汁物です。野菜スープ作りでは、野菜の種類や切り方にこだわり、見た目にも彩りを加えると同時に食べ応えを出せます。
野菜の旨味を最大限に引き出すためには、使う出汁と煮込み方がポイントです。塩やコンソメ、ハーブなどを上手に使うことで、よりおいしくヘルシーなスープが作れます。
豚汁
豚汁は、寒い季節に体を温めるのに最適な日本の伝統的な汁物です。豚肉とさまざまな野菜の組み合わせが風味豊かで栄養価の高い一品を生み出します。体を温める効果があるので、冬場に好まれます。
使用する野菜は大根、人参、ごぼう、こんにゃく、しいたけなどが一般的です。豚肉の脂肪分と組み合わさり、深みのある味わいを作り出します。味付けには味噌がベースとなり、赤味噌や白味噌を用いることでバリエーションを楽しめます。
味にアクセントを付けるため、ネギや七味唐辛子を使うことも多いです。豚肉だけではなく鶏肉を使ったり、豆類を加えるなど家庭によるアレンジも特徴です。栄養バランスが良く、一汁二菜のメニューでも満足感を与える汁物として重宝されています。
シンプルな作り方でありながら、味わいは家庭ごとに異なり、家族の好みに合わせて作られることが多いです。
まとめ
一汁二菜の食事スタイルは栄養バランスに優れ、健康的な食生活につながります。主菜、副菜、汁物を組み合わせることで、たんぱく質やビタミン、ミネラルを効率よく摂取できます。季節感を生かした旬の食材を取り入れることで、日々の食事をより豊かにしましょう。
主菜にはたんぱく質を含む食材を選ぶことが大切で、鶏肉の照り焼きや味噌漬けの焼き魚、豚肉の生姜焼きがおすすめです。ほうれん草のおひたし、切り干し大根の煮物、もやしとキャベツのナムルなどの副菜でビタミンやミネラルを摂りましょう。
豆腐の味噌汁、野菜スープ、豚汁などの汁物で水分を補給し体を温めてください。一汁二菜を基本に献立を考えることで、食卓のバリエーションも広がります。一汁二菜の食事法を参考にして、健康的な食生活を送りましょう。
» 一汁三菜の基本を解説